沖縄に行った際、ガンガラーの谷にあるウフシュガジュマルという大木に圧倒されました。ガジュマルには幸運をもたらす妖精、キジムナーが棲みついているといわれていますが、ウフシュガジュマルを目の当たりにしたとき、そのことを確信させられました。
ガジュマルは、鹿児島の屋久島・種子島以南に自生する植物で、樹高は20メートルにもなるクワ科の常緑高木です。ガジュマルの大木にはキジムナーという精霊が宿ると言われ、観葉植物として市販される樹木のなかでも人気があります。
今回、私が撮影で訪れたガジュマルは、屋久島南部に自生する巨木で、観光客が訪れにくい森の奥にあり、繁茂面積では日本最大級とされるガジュマルでした。
観光地化されていない場所に立つ巨木は、人と関わらずに数百年育ったと思われ、ほかのガジュマルとは違ったエネルギーを放っていました。
このガジュマルに会いに行くには、南国の木々が一面を覆った薄暗い森の、岩と苔が密集する狭い獣道を歩くことになります。その道をひたすら行くと、突如一本の幹を中心とした小さな広場のような空間に出ます。
そこはガジュマルが支配する異次元空間で、周りに密集しているように見えた木々は、中央のガジュマルが地面に向かって左右に広く垂らした木々であり、よく見ると幹を左右に伸ばし広がった一本のガジュマルが森を作っているのです。
さらに、本体の幹には数メートル上まで大きな石が数多く埋まっていました。成長するにしたがって幹が絡み合い石を持ち上げて行ったのでしょう。その力強い姿には樹の持つ生命力を強く感じ、圧倒的な存在感で出迎えてくれました。
大きく育ったガジュマルの枝が太陽光をさえぎるため、晴れた日中であっても薄暗い中で撮影しました。数枚撮影したカットのなかに不思議な物体が写り込んでいました。
(秋元隆良)
皆さんの元にも、幸せが訪れることを願っています。